産業廃棄物収集運搬業(積替保管あり)許可徹底解説

  • 産業廃棄物の積替え保管施設(仮置き場)を作りたいのだけどどうしたらいいのか?
  • ○○に土地あるのだけれどここで産業廃棄物の積替え保管施設(仮置き場)って出来るのだろうか?
  • (取得・賃貸を)考え中の土地があるのだけれど、そこで産業廃棄物の積替え保管施設(仮置き場)のだろうか?
  • 産業廃棄物の積替え保管施設を作りたくて県庁に話を聞きに行ったけれど難しそうでよくわからない

産業廃棄物収集運搬業(積替え保管施設あり)の許可はかなり難易度も高い申請になります

当事務所が関与させて頂いている産業廃棄物処理業のお客様の80%が建設業者さんでいらっしゃいます。

そうすると「産廃を運ぶ」シチュエーションというは「下請けとして入った現場で出た廃棄物を収集運搬する」ということになります。そこでよくお客様から上がる声が「毎日毎日仕事上がりにその日に出た産廃を処理施設に持っていくのは時間とお金の無駄……」「そもそも、17時に現場上がってから処理場に持って行っても閉まってるし……」「現場から出る廃棄物って一回一回はそれ程の量でもないんだよね……」というもの。

そこで、毎日毎日産業廃棄物を処理場に持ち込まなくてもよくする解決手段の一つとして、「産業廃棄物収集運搬業(積替え保管施設あり)」の許可取得があります。

しかし、産業廃棄物収集運搬業と産業廃棄物収集運搬業(積替え保管施設あり)では許可申請に要する労力や申請者側に必要な知識・経験がまったくの別物になり、許可取得までに必要な日数も相当違う、かなり大変かつ難しい申請になっております。

また、行政書士の中で「産業廃棄物収集運搬業許可承っております」という行政書士先生は相当数いると思いますが、その中で「積替え保管施設あり」の許可を手掛けたことのある先生はかなり少ないので、積替え保管施設の許可設置にかかる業者様の疑問や質問に答えられる行政書士も少ないです。

そこでまずこのページで産業廃棄物収集運搬業積替え保管ありについての基本事項の確認から許可取得に関して必要な事項を徹底的に解説をさせて頂きます。

産業廃棄異物収集運搬業(積替え保管あり)とは?

そもそも、産業廃棄物収集運搬業(積替え保管あり)の「積替え保管あり」とは何でしょうか?

産業廃棄物収集運搬業(積替保管あり)とは、その名の通りになりますが、「集めた産業廃棄物を自社の保管場所におろして一時的に保管したり、一旦おろして他の車に詰替えて産業廃棄物処分場に持っていくことができる許可」です。

わざわざ「産業廃棄物収集運搬業(積替保管あり)」と括弧書きで書いているのは「積替保管あり・積替保管施設設置」だけの許可というものは存在せず、「産業廃棄物収集運搬業許可」のひとつの形態であるためです。

産業廃棄物収集運搬業の許可でできる業務は、「廃棄物の排出現場でゴミを積み込む」ことと「廃棄物処理施設で積み荷を降ろすこと」だけです。その途中のどこかでゴミを下すことはできません。さらに、積んでいる産業廃棄物を(車の荷台から)下さないからと言って、車(コンテナなど)に積んだまま処理場に持ち込みに行かず、自社の駐車場等で一晩おいておくことも禁じられております。

つまり原則的に産業廃棄物を積みこんだら処理施設に直行しなければなりません。(このあたりは様々な見解のあるところです)

たとえばですが、「午後の4時にどこかの工事現場で廃棄物を積み込んだけれど、処理施設が5時で閉まってしまったから止むを得ず一晩だけ車に積んだまま自社の駐車場に保管してしまった」という場合でも、罰せられてしまう可能性があります(罰せられないまでも反省文などの提出が求められるでしょう)。

罰せられる場合は、最悪で無許可営業で5年以下の懲役または1000万円以下の罰金もしくはその両方となります。

産業廃棄物収集運搬業では「連続性」が重要

しかし、これらの事例はあくまで原則論であって、実務上・現実的には「工事現場で産業廃棄物が出て、それを回収するのは午後遅くや、時には処理施設が休日の土曜日・祝日であり、やむを得ず自社に持ち帰り一晩(二晩)経ってから処理施設に持ち込むことが多い」のも現実です。

ここで問題になるのが「連続性」と言われるものです。

つまり「積み込んでからどこかで下ろすまでが連続して行われているか?」と言うことが問題となるのです。そして、上記の例のような「車上での保管」は議論の対象となることも結構あります。

もう一つ例を挙げると、「東京で産業廃棄物を積み込み仙台の処理場へ運ぶ際に、途中のパーキングでゴミを積んだまま休憩して一晩過ごす」という事例においては、「連続性」が認められてもちろん「産業廃棄物収集運搬業(積替保管有り)」の許可は必要ありません。

対して、自社に持ち帰った産業廃棄物をを駐車場におろしてしまったり、ほかの車に詰替えたりすることは議論の余地なく「連続性は認められず廃棄物の処理及び清掃に関する法律違反」となります。

しかし、「積替え保管施設」が有れば、そこに決められた種類の産業廃棄物は決められた量だけ保管することが出来ます。

産業廃棄物(積替え保管あり)を取っておけば、上記の例のように時間ギリギリでゴミの積み込みもできますし、ある程度の量を貯めた後でまとめて処理施設の運ぶこともできるので、コストの削減にもつながります。施設によっては一定量以上の産業廃棄物しか受け入れない施設もあるので、その面でも業務の効率化・コスト削減ができます。

許可の取り方にもよりますが、他の産業廃棄物収集運搬業者のゴミを預ることも可能な施設の許可です。

東京都では搬入か搬出かどちらか一方が「自社だけ」になっていればよく搬入を「自者及び他者」にすれば他者物の請けいれも可能になります。

産業廃棄物収集運搬業積替え保管施設ありの許可取得に必要な手続き

産廃の積替え保管施設設置に必要な手続きは、申請先の自治体によって本当にまちまちです。一つ一つの手続きの名称ももちろんまちまちですが、基本的には事前に「事業内容の事前計画書」を作成し、その内容のOKを自治体から得たのちに「業の許可申請」をするという流れになります。

ここでは、その一例として「東京都内で産廃積替え保管施設の設置許可を取る手続き」についてご説明させて頂きます。

必要な手続き(東京都許可の場合)

  1. 設置する自治体へ指定作業所設置の届け出(東京都では必須です)
  2. 積替え保管する産業廃棄物の種類と量にによっては消防署への届け出
  3. 市区町村の条例によっては下水道局への届け出
  4. 廃棄物対策課への事前計画書の提出
    〇(廃棄物対策課担当官の現場の審査)
  5. 東京都廃棄物対策課への産業廃棄物収集運搬業許可(積替え保管あり)の許可申請(「業の許可申請」と呼ばれます)

指定作業設置申請と事前計画書の申請に必要な書類

1と4にある指定作業所の設置届と事前計画書に必要な書類をご説明します。

指定作業所の設置届に必要な書類

指定作業所の設置届は、積替え保管場所を設置する自治体の市役所・区役所に提出します。(東京都の町部に関しては多摩環境事務所への提出になります。)

指定作業所設置届出書 廃棄物積替え保管場所の敷地の状況及び構造、騒音振動防止の方法の詳細などを含めて収集運搬事業の詳細などを記載します
指定作業所の位置図・案内図(用途地域がわかる図面を含む) 工場(積替え保管施設)のある場所がわかる地図を用意します(ヒキとよりで。自治体によっては「半径200mの範囲が解る地図」等の指定があるのでご注意下さい。「半径」の基準も「工場の四角から半径200m」等の細かい指定もあります。
建屋、作業所の平面図・立面図・矩計図(かなばかりず)などの図面類 建屋や作業場を作った時に建築士が作ったものを添付すれば問題ございません。
重機を使用する場合は重機の仕様書 購入時に仕様書や図面などがついてきているならば、それらを添付すれば問題ありません。もしもなければ、メーカーのHPに仕様書があることもあります。

事前計画書に必要な書類

施設の案内図・周辺図 ネットなどで検索して得られる地図でも構いませんが(ゼンリンの地図などを使う必要は特にないです)「引き」と「寄り」の2種類用意する方がベターです。自治体によっては「半径○○m」と指定されるところもあるのでご注意下さい
用途地域を示す図面 処理場の所在地の自治体のHPに用途地域図があるので、そのページを使えば大丈夫です
施設内配置図(排水溝等の汚水雨水処理施設の図面含む) 処理場から排出される汚水・雨水の処理は、自治体もかなり審査を厳しくするところです。
分離槽や升の図面も添付します
施設の写真(外観・内観及び周辺を含む)と写真撮影場所を示す図面 地図(図面上)で写真の撮影方向を示します。
周辺地図に撮影方向を示し、一緒に添付します
作業手順説明書 運搬車両が入場し、産廃を下ろし選別をして、保管場所に置くまで。そして保管場所から出して搬出するまでを図も入れて、詳細を記載します。
積替え保管を行う産業廃棄物の一覧 積替え保管する産廃の種類・量を記載します
保管場所の図面及び容量計算 保管容量は厳守なのでこの書式は注意です。
保管容量の計算の仕方は保管場所の形状によって異なります。コンテナ等を使って保管する場合は、そのコンテナの容量によりますが、「三方を壁に囲まれているヤードでの保管」等の場合は計算が複雑になるので注意が必要です。
保管容器のカタログ コンテナ等を使う場合にはコンテナの図面・カタログを添付します。
コンテナ保管をする場合などはコンテナの図面・カタログなどを添付します。
施設の清掃に関する手順書
生活環境保全に関する説明書 東京都(自治体)は周辺住民からの苦情を一番気にしています
施設の使用権原を示す書類 土地・建物登記簿謄本、賃貸借契約書等(公図含む)
(使用する)重機の一覧表 重機の写真も貼付
関係法令に関する書類 上記した消防署に届け出た書類の写しなど
近隣住民への説明に関する書類 東京都では「(近隣住民の)同意」までは求められていませんが、近隣の皆様への(今後の事業の)説明をすることは必須です

以上のような書類・図面を要して、「施設として基準を満たしているので、(産業廃棄物収集運搬業 積替え保管ありを)業として申請しても良いです」となった場合は、さらに「業の許可申請」として業務の内容の詳細を示した書面、運搬する車両の写真・車検から申請会社の役員様の住民票・登記されていないことの証明書から決算書・納税証明書まで様々な書類が必要になります。

積替え保管施設申請は半年~2年の長丁場です

この様に産業廃棄物収集運搬業(積替え保管あり)の申請にはかなりの量の書類が必要になります。そして、どんなに状況が整っている案件でもご相談→許可取得まで半年はかかります。

それ以上に「そもそもこの場所で積替え保管施設が出来るのか?」の事前確認から「この場所で積替え保管施設をするために必要な届出はなんだ?(上記言うところの消防署への届出など関係法令の届出というものです)」の事前調査などもしなければなりません。

これはお客様にとってはかなりのご負担だと思います。(不慣れな場合は役所に何度も何度も足を運ばなければなりません)

当事務所では場所の選定・事前相談・役所への事前確認含めて全国対応しております

積替え保管施設を設置るする際には「場所」をどこにするかの判断は最も重要で慎重にしなければなりません。仮に場所の購入・賃貸借契約締結後に「やっぱりこの場所では産業廃棄物の積替え保管施設の設置はできません」というような事態になると、会社様もかなりの損失を負うことになると思います。

そこで当事務所では場所の選定から「この場所で積替え保管施設が可能か?」の役所との事前確認・事前協議など全てを全国対応で承っております。

関東一都六県はもとより大阪府、愛知県、福島県、鳥取県など各地での産業廃棄物収集運搬業(積替え保管あり)や産業廃棄物処分業の許可申請の実績がございます。

積替え保管施設有りの許可取得をお考えの業者様はぜひ一度、ご相談頂ければ幸いです。

料金

産業廃棄物収集運搬業(積替え保管施設あり)の許可申請の場合は、お客様の取り扱う産業廃棄物の品目や許可取得する場所を管轄する自治体によってかなり申請内容・難易度が変わってくるため、画一的な料金体系をご案内することはできませんが、大まかな目安をまとめさせていただいております。

最初のご面談で、事業計画をお伺いをして、その内容を持って関係各行政庁で事前の確認をしてから正式なお見積りを出させて頂いております。

内容 金 額
事務所報酬(指定作業所設置届、事前計画書、産業廃棄物収集運搬業許可申請含む) 700,000円~(お客様のご計画、ご状況で全く変わりますので、あくまで最低額です)
産業廃棄物収集運搬業許可申請手数料 81,000円
事前確認日当 50,000円~(後日正式なご依頼時にはこの金額は事務所報酬に充当させて頂きます)
事前確認時に要した交通費 実費精算

 

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